第1章 疑うべき「コモンセンス(常識)」とは?
第2回 「飛距離の階段」が潰れるストログロフト化
今やプロモデルにも押し寄せるストロングロフト化の波。
いわゆる「飛距離の階段」を作るにはアイアンの役目だが、その立ち位置がユーティリティとウェッジに浸食されてる。
PWの下に追加するウェッジは3本以上も当たり前に。
女子プロも徐々に6鉄までも外しつつある。
ストロングロフトは飛ばし屋向け?
ヘッドスピードが中途半端に遅いほどストロングロフトのショートアイアンは飛びやすくなりやすい、ということをご存じだろうか。
ロフトの大きいヘッドで加減して打つと、ロフトなりの打ち出し高さが出ず、スピンもかかりにくくなるため、ライナー性の当たりになる。
結果、適正なフルショットの弾道よりも遠く届くことになる。
結果、PWは飛ばし屋並みの120ヤードも打てるのに、6鉄は150ヤードもキャリーが出ず、160ヤードも届かない。
10ヤード刻みの飛距離の階段は4、5段も作れないことになる。
逆に、6鉄で180ヤード、PWで120ヤードを狙い打てるレベルのヘッドスピードの飛ばし屋が15ヤード刻みの「飛距離の階段」を作るには、ストロングロフトも有効なスペックになる。
ヘッドスピードに対して打ち出し高さとかかりすぎるスピン量は抑えることが易しくなる可能性がある。
「止める」ヒントはユーティリティに
飛ばし屋ではないノーマル以下のヘッドスピードで「飛ばし屋の階段」を作るには、どうするのがベターなのか。
まずは昔のスタンダードロフトを見直すことだ。
元々、番手ごとのレングスが生み出すヘッドスピードで、止まる弾道が打てるロフトだったはず。
それでは飛距離が物足りない、という意見だろう。止める弾道で飛距離を伸ばすのは、ドライバー同様ヘッドスピードアップ、つまり長尺化×軽量化が最も有効だ。
ロフトも立てず、軽くしたものだ。
そう、ユーティリティのスペックそのものだ。
弾道高さとスピン量をラフに確保できる「ロフトありき」のクラブ開発と言える。
だが、そのユーティリティのスペック指向とは別の発想で、「止める、狙い打てる」アイアンを、と生み出されたのが、ヘッド重量を大幅に軽くした『ブレイクコモンセンス』なのだ。