第1章 疑うべき「コモンセンス(常識)」とは?
【第3回 ユーティリティに勝てる「ヘッド軽量化」アイアン】
ユーティリティの台頭で本数を減らしつつあるアイアンセット。
ストロングロフト化で「止める」機能が低下しているからだが、
その解決策として藤本技工が注目したのが「ヘッド軽量化」だ。
あえて長尺化と組み合わせなかった理由とは?
そこには「狙い打てる」アイアンへの強い想いがあった。
きっかけは長尺アイアンのオファー
藤本技工が「ヘッド軽量化」に注目したきっかけは、他社からのOEM依頼で「長尺アイアン」を手掛けたことだったという。振りやすさを求めて、より軽量化されたヘッドを組んだアイアンは、打ち出し角も上がり、スピン量も増え、飛距離も伸びたという。
その試打テストの最中、ふと思いつき、少し短く持って打ち比べたところ、弾道高さは少し抑えられ、スピンの利いた打球が出た――あれ、これが本来、この番手で打ちたかった飛距離と弾道では?
早速シャフトをノーマルレングスで組み直し、試打。飛距離アップの程度は試打者によってさまざまだったが、スピン量の確保は一律でアップ。振りやすさと併せて、特にミドルアイアンの打ちやすさを実感する感想が多かった。
ここからヘッド重量の「コモンセンス」を疑い始め、新たな「軽量ヘッド」開発へと向かっていった。
ノーマルとの差異は「ヘッド軽量化」だけ
アイアンの本質的な向上は「キャリーで遠くに運べて、正確に止められる」こと。軟鉄鍛造アイアンを作り続けてきた藤本技工では「飛距離の階段」を組み立てていくうえで、番手の数字以上の飛距離を求める、いわゆる「飛び系アイアン」の流行には疑問を感じ続けていた。そんなことよりも、もっとショットの精度を上げるスペック、ヘッド構造はないのか?
「ヘッド軽量化」は、ヘッドスピードアップよりも、その操作性、スピンコントロールの向上につながる可能性を示していた。だからこそ、余計な飛距離アップをしない=長尺化をしない=ライ角をフラットにしない、バランスも軽くなるままのモデルとして『ブレイクコモンセンス』は誕生した。
番手ごとのレングス、シャフト重量はノーマルのまま、20g軽いヘッド。中空構造を採用したことで、ヘッドのサイズ感、ソール幅も違和感なく仕上げられた。

