第2章 「ヘッド軽量化」が進まない理由とは?   

【第1回 既存の「バランス理論」が大きな足かせに】


アイアイのヘッドを軽くすることに、抵抗を感じる人は多い。

そこには「Dバランス」維持というコモンセンスがある。Cバランス以下は非力層向け、と刷り込まれている。

だが、なぜこの「バランス理論」を疑わないのか。たかがクラブレングスとヘッド重量の計算式なのに。


レングスごとにヘッド重量を変える必要性とは?



「バランス理論」を語る大前提として、なぜ番手ごとにレングスを変えなければならないのか、を考える必要がある。

20世紀初頭、ウッドにアイアンが加わる過程で、明らかにアイアンヘッドが重かったため、必然的にレングスは短くなり、ウッドよりも短い距離を狙う道具として進化。ロフト角を大きくするほどにフェース、ヘッドサイズも大きくなるため、重量も増やすのが当たり前に。

つまり、アイアンセットの考え方は、ロフト角を増やす=ヘッド重量か増える=短くして振りやすく、というのが基本となっていた。

だが、現代ならロフト角にかかわらず、ヘッド重量を統一することもできる。

ブライソン、デシャンボーが使用する「ワンレングス」アイアンのように。この「ワンレングス」発想のアイアンセットは過去にも登場しているが、主流となり得ないのはやはり「飛距離の階段」が作りづらいからだろう。



「飛距離の階段」はレングスとロフト角でほぼ決まる

アイアンの番手ごとの飛距離を10~15ヤード確保するには、ロフト角の違いだけでは難しいことを「ワンレングス」アイアンは示している。やはりヘッドスピードの差ができるよう、レングスの違いを設ける方が簡単なのだ。

ただし、ここで再考すべきは「飛距離の階段」はレングスとロフト角の組み合わせで作れるのであって、ヘッド重量を既存のセットのような重量設定にする必要はない、ということだ。

「バランス理論」は、単純に言えば「長いものは軽く、短いものは重く」することで「振り心地」が揃う、というもの。だが、それならなぜ長い番手より短い番手をコンパクトに振るのか。シャフト重量をフローさせるプロもいるが、そもそも振り心地を揃えたいのか、変えたいのか。パーツ重量の多様化とともに、ヘッド重量の考え方も見直す必要があるはずだ。

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